silossowski

こんにちはシロソウスキー

ライブリスニング機能は補聴器代わりになるのか?

 iPhoneには聴覚補助機能として「ライブリスニング」という機能が搭載されています。

 AirPodsシリーズやPowerbeats Proといったイヤフォンと、iPhoneを組み合わせることで使用できる機能で、要するにiPhoneのマイクで拾った音声をイヤホンに届けてくれる機能です。

 この機能について解説する記事等は見られるものの、実際に難聴者がレビューしているものは見つけられなかったというか、あるはあるんだけど、実際に使い比べずに、コタツ記事的に語っているに過ぎないっぽい内容のものが目について、あまり参考にならないどころか、判断を歪めてしまうように思えたので、自分の感じたことを書こうと思った次第です。

書いている人間について

 30代です。

 難聴は「中程度」と呼ばれるもので、補聴器等着用していなくても日常生活は送れるものの、加齢とともに、言葉の聞き分けが難しくなってくるため、早期の補聴器使用を推奨されたりするレベルのものです。

 だいたい90代の人と同水準ぐらいの聴力らしいですが、90代の祖母より自分は耳が遠いので、健聴の老人よりは聞こえてないレベルのようです。

 補聴器は購入検討中であり、1~2ヶ月程度試用経験はありますが、ふだんから着用しているわけではないです。

 難聴は、幼少時の中耳炎に起因するもので、物心ついたときにはすでに耳が遠かったので、ふだんの生活で困ることが無いわけじゃないけど、まあこんなもんだろうという感じで生活しています。

 日常生活で困ることは、会議やオフィス内での会話など少し距離を挟んだ際に、相手の喋っている内容がわからなくなる。路上で後ろから近づいてくる自転車に気づけない。騒々しい場所では、対面でも相手の喋っている内容が聞き取りづらい。あとは戸で隔ててあるサーバールームで鳴っている警告音に気づけなかったとかもありました。

補聴器について

 補聴器はピンキリではあるけど、まともなメーカーのエントリー~ミッドクラスぐらいの商品で、両耳価格50万円前後です。

 補聴器は高音~低音のあらゆる音を、ユーザーの聞こえづらいレンジの音だけ選びつつ、また風音とか突発的な音とかをカットしつつ耳に届けるためのマシンで、要するに超高機能な精密機器です。

 「指先サイズのミキサールーム」みたいな表現も聞いたことあります。なるほど。

 補聴器屋さんは、ユーザーの聴力を検査しつつ、定期的にその音の具合をチューニングしていくので、そういうアフターサービスが必須のものなんですな。

ライブリスニングについて

 冒頭で書いたことの繰り返しとなりますが、ライブリスニングは、iPhoneに搭載されている聴覚補助機能で、AirPodsなど対応イヤフォンを持っていれば使えます。

 補聴器は本体で音を拾いつつ本体で音を出しますが、ライブリスニングでは、iPhoneで音を拾いつつ、AirPodsで音を出します。

 補聴器のような音域による調整はなく、全部の音がでかくなるイメージです。補聴器というより、集音器ですね。

 音はモノラルになるので、指向性はない感じです。

使い比べてどうなのか

 個人的には、ライブリスニングを補聴器代わりにするのは難しいと思いました。

 まずiPhoneのマイクが、あまり集音能力が高くなくて、遠くにいる人の声とかはあまり拾わないというのがあり、ライブリスニング使わなくても聞こえる近くの人の声ばかり大きくなり、逆に聞こえづらい遠くの人の声はiPhoneもあまり拾わないため、あんまし意味ないという感じがありました。無いよりは幾分マシかもしれないですが。

 「無いより幾分マシ」なのに、なぜ「使えない」かというと、Bluetoothの仕様なのか、音が若干遅延するため、自分の声が遅延して耳に届いて、エコーのような状態になり、まともに喋れなくなるからです。

 zoomやdiscordとかのweb会議で、自分の声がエコーして喋りづらかった経験って、体験したことある人も少なくないと思いますが、あれです。

 自分が喋るときに、いちいちAirPodsを外すか、ライブリスニングをOFFにする必要があり、単に「聞くだけ」の場合はいいかもしれないのだけど、自分が発言する機会のある場面では使用に堪えない感じなんですよね。

まとめ

 ライブリスニングは、あくまで「補助機能」であると思います。機会によっては使える場面は全然あるとは思うけど、補聴器の代わりとかではない感じ。

 補聴器よりも、比較されるのは単機能の集音器とかのほうで、集音力とか実用性も、単機能の集音器のほうが高いかもしれない。という感じです。

 とはいえ補聴器は、両耳で50万円程度するわりに、実は耐用年数5年(!)とかで、正直、お金持ちだったり、補助金対象となる高程度難聴の人しか運用していけないってのはあるんですよね。

 ググった感じだと、「補助金を使えば、より高機能な補聴器のほうが安く買える」みたいな、補助金受けられる人間がそもそも限られてるんだよクソが。みたいな意見とか、あとは「補聴器よりいいかも!」みたいな、いいわけねえだろクソが。みたいな意見とかが見られて、そういうのしかインターネット上にないの良くないな~と思って書いた次第です。

 ライブリスニング機能目的で買ったAirPods Proですが、(特にこのコロナ流行下において)zoomやdiscordを使用したオンライン歌会で便利に使わせてもらってますので、それはそれで、めでたし めでたし。

Apple公式のFAQは以下より。

AirPods、AirPods Pro、AirPods Max、Powerbeats Pro でライブリスニングを使う - Apple サポート (日本)