silossowski

こんにちはシロソウスキー

HIV検査を受けてきた話

HIV検査を受けてきた。

自分の人生、あまりそんな性に対して活発じゃなかったというか、異性とはじめて性交したのも30を超えてからだったし、どちらかといえばそこまで心配することない部類なのかもしれないのだけれど、やはり不安は不安だし、生きていると、なんかいきなり性交する機会が生じたりして、そのとき決まって「自分がHIVウイルス保有者だったら相手に伝染ってるんだよな~」とか思って、不安感というか後ろめたさみたいなものを感じていたし、どうせ無料で検査が受けられるのであれば、受けてみるに越したことはないなと思ったので。

こういった検査のたぐいは、基本的に平日しかやっていないイメージだったし、実際に平日実施が多いのだけれど、自分が住んでいる中野区では、日曜でも検査をやっていることがあって、それならばという感じで検査を予約した。

そうした検査の日曜実施を知ったのも、中野区報に検査のお知らせが載っていたからで、区報も読まずに捨てるのではなく、なんとなくでも目を通しておくものだ。

区報には、「電話(視覚障害者の方はFAX)での予約を受け付けております」とあり、ネットなどでの予約は受け付けていなかった。自分は電話をすること自体が苦手で、ダイヤルを回すのにも相当な勇気が必要で、それもいままで検査を受けてこなかった理由のひとつだったりするんだけど、実際に予約ダイヤル(検査委託先NPOの予約専用電話)にかけてみると、そこはきちんと専門機関といった感じで、こちらは一切戸惑うこともなくスムーズに予約ができて、なんだか拍子抜けしてしまったし、検査当日への不安も薄らいでいった。

匿名検査が徹底されているため、こちらは名乗る必要がなく、予約の際には、こちらの電話番号のみを伝えることになる。 そこで予約番号が発行されるので、それを控えておいて、当日の受付でその番号を伝えて、検査に案内される流れになる。

さて、検査当日である。

事前に電話で案内されていたとおり、保健所の1階に受付があるので、そこで予約番号を告げて、問診票と検査案内を受け取り、待合室で問診票に記入しつつ、順番を待つこととなる。

待合室ではHIVエイズ啓発のビデオが結構でかい音で流されていて、否が応でも耳に入ってくる。 問診票を記入したあとは本を読んで順番を待とうと思ったので、テレビから少し離れている場所のベンチに腰掛けたが、それでも音声が聞こえてきて本にはあまり集中できなかった。

「受付番号○○番の方」と呼ばれたので、「はい」と返事してそちらに行く。まずは個室に通され、そこで問診票を手渡し、内容に記入漏れなどがないか確認を受けつつ、きょう一日の検査の流れについて説明を受けた。 最初に受付で渡された紙に当日の検査の流れが書いてあったので、その内容を繰り返し説明される形となり、丁寧だと思った。 最後には、「ここまでで質問はありますか」と確認があり、「大丈夫です」と答える。 「では採血に案内します」と、採血の順番待ちの椅子に案内された。

順番待ちの椅子からは、でかい音量で流されている啓発ビデオが見えた。 HIVに感染し、現在は投薬で症状を抑えつつ生活している人のインタビューが流れている。 「21のとき知り合った人と2~3回会う機会があり、その後気になって検査を受けたら陽性だった」という内容で、若き日の2~3回の行為がHIV感染につながると思うと、やけにリアルで理不尽な気もしたし、そうなると自分だって感染の可能性がまったく否定できないなと思えて、なんだかひどく不安になった。本を読むのはもう無理だなと思い、ただただ啓発ビデオを眺めた。

よくある血液検査の感じで、試験管みたいなやつに血液をとる。普通の採血だ。

そして、ここから検査結果が出るまで待合室で待ち続ける。その間やはりでかい音で流れる啓発ビデオを見て、不安感を煽られる。テレビの横には洗面台があり、そこにはアルコール消毒ジェルが置いてあって、いま手を消毒したところで(もし感染していたとして)HIVを防ぐことなんて絶対にできないのだけれど、なんでもいいから、とりあえず手指でも消毒したい衝動に駆られる。

待合室にはセーラームーンが「検査しないと おしおきよ!!」と言っているSTI性感染症)・HIV検査推進パンフレットが掲示されている。セーラームーンに性病やHIVのことを言われるのは、なんだか妙な感慨がある。検査しなかったら、どんなお仕置きが待っているというのだろう。

啓発ビデオも何周かループし、HIVエイズへの理解がじゅうぶんに深まった頃に、結果発表に呼ばれる。

個室に通されて、長机越しにスタッフの人と向かい合う。 「今回の検査はスクリーニング検査というもので、"陽性の疑い"があるかどうかを調べるものとなっています。仮にここで疑いありとなった場合は精密検査に回され、後日再検査を受けていただくかたちとなります。ここで疑いありとなっても、実際に感染しているかどうかは断言できず、○○人のうち3人は、精密検査の結果陰性となります」。○○人のうち3人はけっこう少ないな、と思った。

スタッフの人は給与明細に似た感じの、封のされた茶封筒を取り出し、「このなかに検査結果が入っています」と言う。「受付番号は封筒のものとお間違いないですか」いま一度確認が行われる。「それでは開封します」はさみを取り出す。スタッフの人ははさみで封筒のはじをザクザク開く。封筒から検査結果が取り出される。三つ折りになった検査結果がひらかれる。「今回の検査では陰性ということになりました」。陰性おめでとうございます、ぐらいのことが言われるのかと思ったけど、そういうわけでもなかった。

「前回の気になる出来事から1ヶ月以内ということですね」「はい」「HIVというのは1ヶ月、2ヶ月と潜伏期間になる場合があり、検出できるようになるまでは個人差がありますが、3ヶ月後以降だと確実に検出できるようになります。1ヶ月以内だと…、10月の検査がよろしいですね。もし気になるようであれば、また検査されるといいかと思います」「はい」。

血液や精液が粘膜に長時間とどまることでリスクが高まるため、そのような状況となってしまった場合は、事後におしっこをして尿道から排出する、排便したり腸内を洗浄したりする、口腔内をうがいする(喉うがいまでしてしまうと、ウイルスが逆に中に入ってしまうのでよくないらしい)。そんなことでリスクが下げられるんかいな、と思ってしまった。

そして最後に本日の検査に関するアンケートと、採血時の止血用絆創膏を受付で回収されて終了である。採血して結果を待っているだけなのだけど、どっと疲れた。すこし傾きかけた太陽の光が、やけにぬるく感じた。

みんなも受けよう、HIV検査! なぜなら、セーラームーンもそう言っている。