silossowski

こんにちはシロソウスキー

ケーキを食べることよりもむしろ買うことが趣味

もともと甘いものはわりと好きなのだけど、貧乏性が身についているので、ケーキを食べることは、たとえば誕生日とかクリスマスとか、あとは風邪やら病気のときとか、そういう特別なときに限られていて、日常でケーキを食べるとバチが当たるのではないかとすら思っているようなフシがあります。

しかしながら、世の中の人たちみんながそんな程度しかケーキを食べないのであれば、ケーキ屋さんは当然食っていかれないわけであり、ケーキはもっと日常から買って食べてもいいものなのではないかと、大人の自分が論理的に考えた結果、そのような理路整然とした答えが出ましたので、そのようにしています。

きっかけとしては、人物から「クリスマスなのでホールケーキを買おう」と提案され、「いや、それならばショートケーキを数種類買ったほうが、安いし量も適切だし、色んなものも食べられるし良いのでは」と返答し、実際そのようにしたのですが、たしか5個だか6個だか買って2000円もしなかったので、「意外と高価くはないものなのだな」と思って、それ以来ケーキをたまに買うようになったのです。

ケーキをたまに買うようになり、少量買って自分で食べるということもあるはあるのだけれど、むしろ人の家に遊びに行くときとか、おみやげとしてケーキを買う機会が多くなり、それは「自分ひとりのためだけにケーキを買うのが何だか少し後ろめたい」みたいな気持ちがまだ完全には捨てきれず、しかも自分用だと少量しか買わないので、何だか店のひとに悪いのもあるというか、店のひとに「うだつの上がらないチョンガー( * )なのに、自分用に1個だけケーキ買うんだ(笑)」みたいに思われるんじゃないかみたいな気持ちもあって(なので、たまに買うときはそんな要らないのに複数個買ったりして、「いや、妻がね、ここのケーキが好きでね」みたいな顔をする)、結局やはり自分用にはケーキって少し買いにくいので、ひとの家にお邪魔するときのお土産を口実にケーキを買って、自分も食べようという気持ちがあるのですよね。
* 注釈:死語です、各自ググってください

もちろん普段から自分用に少量買って、味を確かめて、そのうえでひとへのお土産や進物にするというのは真っ当な行動なので、普段から自分用に少量買うというのは後ろめたい行動じゃないはずなんだけど。

こうした行動を繰り返すうちに気づいたのが、自分はケーキを食べることというよりも、ケーキを買うことが好きなんじゃないかということでした。

ケーキを買うというのは、生活に華を添えるようなものだと思う。

華を添えるという言い回しがバッチリそのままで、花を買って花瓶に活けて、それを部屋に飾る行動に似ている。

ケーキ屋に行く、ケーキ屋の店内は砂糖とスパイスのにおいに満ちている。ガラスケースを見る、色とりどりのケーキが並んでいる。少し無骨でドッシリとしたものもあれば、フルーツが宝石のように散りばめられている鮮やかなものもある。キウイフルーツババロアとか爽やかな色のものもあれば、名前わかんないけどベリーを使った艶やかな赤色のものもある。チョコレートや栗のなめらかな茶色、いくら見ていても飽きない。花屋の店先に並んだ、いろんな花を見ていたときのマッキー(槇原敬之)もこのような気持ちだったのだろうか。

とかいろんな形容をしまくっていると、時間がかかって店のひとに迷惑ですので、早めに決めてケーキを買うのですが、いつも「はやく決めなきゃ」とおもって迷ってしまって、「なんでこのケーキに決めたんだ?」とあとでいつも謎になってしまうのですが、それはさておき、ケーキはだいたいうまいです。生活に彩りがもたらされます。

なんかキレイなケーキを買ったならば、それを雑には消費したくないというのが人間の情であり、箱から取り出したら、(半額惣菜はいつも容器から直接食うくせに)きちんとお皿に載せて、コーヒーやお茶を淹れて(焼き菓子系だったら洋酒なんかもいいですね)、散らかってるテーブルの上もきれいに片付けて、その様子をスマートフォンで撮影して、インスタ・グラムに投稿して、急げば秒で食べ切れるケーキをゆっくりと丁寧に味わって食べたりするわけです。

そして人の家に遊びに行くときのお土産にしたときなんかは、「このケーキうまいね」みたいな感じになると、自分が作ったものでもないのに、何となく鼻が高くなるというか、嬉しくなるものですよね。

ケーキを人に買っていくとか、ギャルゲーの登場人物のヒロインの美人のお姉さんになったみたいな気持ちにもなりますね。(個人の感想です)

「ケーキを買う」という行動ひとつには、そのような体験がすべて込められており、要するに丁寧な暮らし、美しい生活が付随してくるものなのではないかと思うのです。

いまわたしが住んでいる部屋は狭くて古くて、線路の近くだからうるさいし、電車が通過するたびに家が揺れるし、北西向きで日当たりが悪くて昼間から暗くて寒いし、なんかくせえし、花を飾るような気分になれないというか、置くスペースすら確保できないのだけど、それでもケーキを買って食べることは割とできたりとかするっぽいです。

それでもひとりぼっちでケーキ食べるのは微妙なので、人と会うときに買いたいのだけど。

ともかく、丁寧な暮らしをやっていくために、ケーキを「買って」みてはいかがでしょうかというご提案と、経過のご報告でした。